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第7話:ボランティア精神を積んだホクレア号


The 7th grade students varnishing a part of Hokulea

 ハワイはボランティアの機会があふれている場所だ。特に教育の中にふんだんに取り込まれている。余りある金銭をばらまく企業やハリウッドセレブによる「慈善活動」だと、「こんなに善いことしていまーす」というPRだけが目立って思わず「偽善」と呼びたくもなるけれど、それでもやらないよりはまし、というのが論理的な考えというのだろう。しかし、ボランティアはする人と受ける人が対等の立場であって、必ずしも奉仕であることはない、ということを私はハワイで教えられた。
 
 ボランティアという言葉が耳慣れた10代の頃、なんとなく外国の言葉なのだなあと思った。外国とは欧米のことだ。欧米はキリスト教文化圏であり、ボランティアという語は恵まれない人びとをケアする修道女を連想させた。私はキリスト教徒ではないが、キリスト教精神を基盤とした学校に通ったことがあり、その教えを今も心の片隅に携えて生きている。なんて言うと、当時キリスト教学を受け持った先生は涙するのではないか。社会人として生きる今、自分の行為に対して世間の評価や正当性、報酬を求めないという尊い精神は、遠いものとなっていく。ときおり立ち止まって、あの清い教えからどれだけ離れているかと自分を見つめる時、ちょっぴり複雑な気持ちになる。
 
 州立ハワイ大学に留学中、私はいろいろなボランティアを経験した。担当教授の全米学会の手伝いとか、資料の翻訳とか、ありとあらゆるボランティアの機会は学校にあった。それらは金銭での報酬はなかったが、おいしい食事にありついたり、成績に点数が加算されたりと、見返りを期待しての行為であった。もちろん「善いことをして人に感謝される」という精神的見返りは無限大だ。ボランティアの初めの一歩とは、そういう報酬ありでも良い。誰もが生まれながらに修道女ではいられないわけで、自分の善行を何らかの形で認めてもらうと、次回へ続くきっかけにもなる。無報酬にこだわらず、広義でボランティアの意味を捉える欧米では、ますますボランティアの機会が増え、活発化するのだろう。

 600年間失われていた伝統航海術をハワイに取り戻したナイノア・トンプソンが率いる航海カヌー、ホクレア号は2007年が明けると同時にミクロネシアのサタワル島を経由して日本に向かう。ナイノアをはじめ、乗船するクルーすべてがボランティアだ。さらに5ヶ月間の航海に備えるため、昨年10月、11月と、陸に上がったホクレア号の修復作業が大勢のボランティアによって行われた。その中に、明日のハワイを担う中高生がいた。炎天下、木の部分にやすりをかけてはニスを塗る作業を幾度も繰り返す生徒達は、汗だくになりながらもハワイのヒーロー、ナイノアに会うだけでうれしくてたまらない様子。「ねえ、信じられる?あのナイノアが『やあ、子ども達』って声かけてくれたんだよ!」「へっへ〜!今日ボランティアに来た生徒をセイリングに連れて行ってくれるってさ!来なかったあんた達、残念でした〜!」と引率の先生が回すビデオに向かってはしゃぎっぱなし。ホクレア号を教育ツールと言うナイノアは、ボランティアに参加した子ども達には必ず時間を作り、航海ルートを説明したり、台風とハリケーンの違いなど自然現象について教えていた。

 ハワイの人びとのボランティア精神が、海を渡って無事日本に届きますように。

文と写真:澄水ゆかし
【プロフィール】
短距離から長距離はモロカイレース「ナ・ワヒネ・オケカイ」を完漕する、カママラホエ・カヌークラブ所属の自称“カヌーガール”。共著に双葉社発行『ハッピーグルメハワイ』『ハッピーハッピーハワイ』他。

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