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身長180センチでスリムなドリスはスポーツ万能で、ハワイではカハナモク・ファミリーと親交が深く、サーフィン、カヌーパドリング、セイリングなど海のスポーツに興じた。二度の離婚と晩年の養子縁組でのトラブルなどに見舞われた彼女を支え続けたのは、ハワイの豊かな自然とシャングリラ創造の情熱だったと言っても過言ではないだろう。ニュージャージーの広大なデューク・ファームをはじめ、ロードアイランド、ニューヨークなどに数軒の邸宅を所有していたが、彼女が設計から携わったのはハワイの邸シャングリラだけであった。1993年、80歳で生涯を閉じた時、不動産を含む遺産の9割は彼女の名前を冠した財団に寄付された。
しかし、シャングリラは収集品をショーケースに展示する博物館ではない。天井に描かれたペイント、彫刻の施された扉や壁を覆う色鮮やかなモザイク、タイル、パネル、織物、部屋にディスプレイされた陶磁器や骨董品の数々は、すべてドリス自身が中東・アジア各国、あるいはニューヨークの骨董市で買いつけ、買い足し、配置しては替え、という作業を数十年続けた結果シャングリラという創造物が出来上がった。世間の注目から逃避し、大好きなハワイの地に好きなものばかりを集めて創り上げたシャングリラは、誰のものでもない、彼女にとっての理想郷であり、彼女の生涯そのものであったといえよう。 現在ドリス・デューク・イスラムアート財団が保有するシャングリラは、ホノルル・アカデミーオブアーツが行うガイドツアーでのみ一般公開されている。
扉を開けて邸に一歩足を踏み入れれば、床、天井、壁まですべてが手の込んだアートで埋め尽くされたロビーで、一気にシャングリラ・ワールドに引き込まれる。飾り立てたモロッコ風の天井、壁を彩る600枚のトルコ・タイル、インドやイラン、中東各国から集めた織物や置物が一堂に集まり、スペインの透かし窓から漏れる光に浮かび上がる。多様な国や時代のものを一室に並べてドリス・デューク風に整えるテクニックは、シャングリラ全体に見られるが、このロビーはまさにそのスタイルを象徴している。
陽光の降り注ぐコートヤードは、トロピカルな空気を味わいつつカラフルなタイルをじっくり鑑賞できる、ほっと息をつく空間となっている。青を基調としたイランから取り寄せたタイル・パネルはつやつやと輝き、光の加減で違った表情を見せてくれる。 この中庭を囲んでいるのがロビーやリビングルームなどのパブリックスペースで、ドリス・デュークの寝室やキッチンなどのプライベートなスペースとは分かれた造りとなっている。
もともとは水槽や貝殻で装飾した海をテーマにしていたダイニングルームを、ドリスが50代の頃大改装を行った。現在のダイニングルームはイスラム遊牧民の生活からヒントを得た、テントのような造りになっている。一面はモザイクタイルが配置され、ガラス面はエジプトとインドの織物がかかり、天井まで布で覆われているものだ。テーブルを照らすシャンデリアは豪華なフランスのバカラ製。ガラスの向こうには、潮風を受けてリラックスできるラナイが続いている。
ツアーは1回12名まで。ホノルルアカデミーオブアーツによるガイドツアーでのみシャングリラを訪れることができます。
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